日本の高齢社会に向けて、今できること

−超高齢社会への切り札、ICT利活用−


日本はすでに5人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎え、2035年には65歳以上が総人口に占める割合(高齢化率)が3人に1人に達すると推計されています。

 

日本が初めて迎える高齢社会をどのようにして豊かにし、便利にするかをテーマに様々な分野で研究が進んでいます。科学技術の分野でも高齢社会を見据えた取り組みがスタートしており、AI(人工知能)や自動運転技術の開発など、世界の有史上で存在しえなかったICT(情報通信技術)を生活に役立てようという動きが主流となっています。超高齢社会におけるICT利活用の推進は、総務省を主体に国も力を入れています。

 

 

ICT利活用の一例として、遠隔地に暮らす高齢者と医者をインターネットを介して結びつけ、地域医療を支援する試みはすでに実用化されています。また高齢者による交通事故の増加が社会問題となっていますが、人に代わり機械が車を自動操作する技術開発には、大きな期待が寄せられています。

 

ICTは意識するとしないとにかかわらず、誰にとっても身近な存在となっており、豊かで便利な生活を実現しています。長年、高齢者の方々にICT利活用をお伝えしてきたわたくしどもが実感していることは、新しい技術が次々に生み出されても、特に高齢社会の高齢者への利活用は、自然と進むものではないということです。

 

ICTを使いこなせない人、特に高齢者は、ICTがもたらす豊さや便利さからますます取り残されているのが現状です。つまり、ICTと高齢者の間にはまだまだ大きな溝が横たわっているのです。

−深刻化する認知症問題−


最新の厚生労働省の発表によりますと、現在65歳以上の高齢者のうち、4人に1人が認知症及びその予備軍であるMCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)といわれ、2025年には、認知症予備軍を含めたその数は1,000万人を突破するとの試算が出ています。

認知症対策は国を挙げての火急の課題との認識は深まっていますが、医療保険や介護保険は認知症患者にしか適用されず、健常者やMCI発症者に対する予防対策は、個人の自主的活動に委ねられているのが現状です。 

 

厚生労働省「認知症予防・支援マニュアル」を始め、さまざまな調査研究から「どうすれば認知症になりにくいか」ということが少しずつわかってきています。認知症予防の対策は、大きく2つに分類され、1)認知症になりにくい生活習慣を行うもの、2)認知症発症時に低下する3つの認知機能を鍛えるものとがあります。これらを習慣化して長く続けることで、認知症を発症することなく過ごせたり、認知症になる時期を遅らせたりできる可能性が高まります。

−2つの社会問題を解決するために−

高齢者へのICT利活用の促進、認知症予防の啓蒙と普及という2つの社会問題を解決するには、パソコン教室の活用が不可欠であるとわたくしどもは考えています。パソコン教室にはICT利活用の習得を支援する講師の存在、会場となる教室、パソコンやタブレット、インターネットなどのインフラ環境、何よりパソコン教室には、高齢者がすでに通学しています。これらのことや下記の表に示す関連性の面からも、パソコン教室の活用は認知症予防意識の向上と認知症になりにくい生活習慣の形成に効果的であると考えています。

 

つまり、認知症予防の取り組みが全国的に広がっていくには、全国のパソコン教室が重要な役割を担うことが期待されているのです。

パソコン教室の未来に向けて


-パソコン教室業界の現状-

パソコン教室市場規模は、約170億円(習い事全体市場規模:1兆9,891億円中の0.9%※)と推計されています。現在NPOも含めると、全国に6,000校の教室があると言われていますが、市場規模から考えますと、教室運営が苦しい状況に陥っていることを、数値は物語っています。十数年前とは違い、今ではパソコン教室としての目新しさはなくなり、教室数も飽和状態となっています。また刻々と進化し続けるICTと共に、教室に通う顧客の要望や課題も変化しています。

 

顧客の感じる価値の変化を捉えることなく、どのようなサービス形態(個別や集合、マンツーマン、通い放題など)や 新しいコンテンツを導入したとしても、そもそもOfficeやインターネットなどの操作方法を教えているだけでは、顧客の要望を満たすことはできなくなっています。また、どんなにチラシやフリーペーパーなど効果の期待できるデザインを考えても、市場から対象者が激減している状況では、顧客を獲得することはできないのです。

 

提供しているサービスや価値そのものを変えていかなければ、人が集まらず、やがては教室事業の継続自体ができなくなるのは時代を見れば明らかです。教室事業を存続させ、生き残るためには、新しい価値を世の中に提供していく必要があるのです。

※2014年度矢野経済研究所調べ

-今後の生き残りをかけて-

今何を考え、何をすべきなのでしょうか? 地域社会が必要としているものを探り当て、その地域に住む方々にベネフィットを提供できるように、教室の付加価値を高め、その上で教室事業の収益を生み出すしくみを考えることです。これができなければ、教室の未来はありません。

 

世の中が何を求めているかは、政府が掲げる国家戦略からうかがい知ることができます。十数年前、政府はIT国家戦略として『E-ジャパン構想』を掲げました。当時はパソコンスキルを身につけることが必要とされたのです。

 

今は認知症対策が国家戦略に策定されています。2015年1月に厚生労働省から、新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)が発表されました。同プランの目指すところは、高齢者が住み慣れた街で自分らしく暮らし続けることです。その実現に向けて7つの施策が打ち出されていますが、その中の一つに、認知症対策としてのICT技術の活用がうたわれています。つまり、ICT技術を活用して、高齢者の認知症予防を実現し、自分らしく暮らし続けることへの支援が求められているのです。

 

これはまさに高齢者を対象にしてきたパソコン教室がICT利活用の教育を通して、その役割を担うべきではないでしょうか? 俯瞰してみれば、パソコン教室の未来は今まさに広がっているのです。世の中に必要とされるビジネスは間違いなく成長します。

 

是非とも、わたくしどもと共に、地域の方々と社会から必要とされる教室創りを目指しましょう。